首都圏・関西の私立・進学校/中堅校の変遷などの見識のある元パナソニック研究所長、現「OKCエディクル塾長 広瀬篤嗣氏」が、日本の私立中学・高等学校の抱える問題を分析し施策を考える

(2014_12_17)広瀬氏トップバナー

私立学校の理事長や校長と数多くの対談を重ねてきた広瀬氏に、今後の私立中学・高等学校の将来と日本の未来を掛け合わせて占って頂いた。日本の将来に必要とされる教育を、自身の体験を踏まえながら読み解く未来とは。 前回の課題分析編を受け、今回は課題解決施策編をお願いした。
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「高大連携」という大きな流れ


第一回の寄稿にて
「少子化」「長引く不況」「私立中高」の「経営を難しくしている現状について概観しました。そのような難しい状況の中で、「高大連携」という新たな大きな流れが出来てきているのは、とても興味深いです。
特に目立つのは「有名私立大学の私立高校買収による大学付属校化」であります。また、私立中高入学時に有名私大への進学をコミットする「有名私大進学コース」の設置が年を追って増えてきていることです。ゆるやかな有名私大付属校化です。

このような「高校と大学の連携」は、世界的には、他に例をみないことと思います。世界の有名私立大学が付属校を持つというのは、筆者の知る限りにおいては皆無と思います。
「有名私大付属校」が、「世界で孤立状態にある国家」の要請である「世界で勝負できるグローバル人材育成」という課題を解決する重要な鍵なのかもしれません。
公立高校においても、横浜国際高校さんと東京外大さんの連携発表が注目されました。 
文科省も「高大連携を推進すべし」と、以下のようにコメントされております。


高等学校と大学が連携することにより、高校生の大学における学修を高等学校の単位として認定することや、大学へ科目等履修生として高校生を受け入れること等、高校生が大学レベルの教育研究に触れることのできる各種取組については、今後、適切な形で、高校生一人一人の能力・適性に応じつつ、拡大を図っていくことが必要である。

このような「高大連携の加速」といったような新しい動きは、国家の要請である「グローバル人材の育成」に明確に繋がっていくものと思われます。
今年の大河のモチーフは、幕末から明治に至る激動の時代、「日本」が必要とした「グローバル人材」の育成に、一私塾が応えたというお話かと。求められたのは「志」「考え抜く力」の教育であり、自ら考え行動できる人材の育成であったかと・・。
現代の「私塾」たる「私立中高」にも、同様なことが求められているのだと思います。

「国際(グローバル)教養」を看板にした大学や学部が増えている大きな流れを理解し、それに対応できるということが「私立中高」生き残りの必要条件なのかもしれません。
 

「大学の4学期制への移行」という大きな流れ

筆者は、創業30年の留学団体OKCのアドバイザとして、米国西海岸など大学生向けの夏春の短期研修プログラムの企画開発にもかかわっており、大学の海外交流センターさんとお話をさせて頂く機会が結構あります。近頃、必ずと言っていいほど耳にするのは、1年間を4つの学期に分ける4学期制
クォーター制)の導入計画です。
夏休みを利用して、単位認定付で「海外大学で学ぶ機会」を学生さんに提供したいと考える大学さんにとって、大きな足かせになるのが、夏休みの期間が一致していないことのようです。
4学期制ならば、北米・欧州など欧米の大学の夏休み(6月下旬から8月末)にあわせて、7-8月を夏休みにして、学生さんに、海外大学のサマーセッションに参加してもらったり、逆に日本に来てもらったりということがやりやすくなるというわけです。
ということで、このような「高大連携」「大学の4学期制への移行」といった新たな大きな流れを考えますと、私立中高さんにおいても、大学にあわせた4学期制への移行というのは、生き残りという観点ではとても重要なことのように思います。


私立中高の4学期制移行のメリット

日本の大学が
4学期制に移行すると、海外の有名大学で必ずといっていいほど実施されているサマーセッションを日本でも実施する大学が増えるのではないかと予測されます。そうなれば、そのような日本の大学のサマーセッションに参加することがとても容易になると同時に、本家の海外大学のサマーセッションに参加するということももちろん容易になることでしょう。
海外でのボランティアやインターンシップを経験することで、海外大学進学のために必須となる要件もクリアしやすくなるでしょう。
欧米では、人を選考する際に、履歴書(職歴書)&面接以上に、「レファレンス」が重視されることはよく知られています。ですので、海外から見えにくい状況にある日本よりも海外に出て、なんらかの活動をして、その活動を管理監督している人に推薦状を書いてもらうというのはとても価値のあることになります。

日本人のノーベル賞受賞者の多くが海外の大学や研究機関に出て、そこで評価を受けた経験を持っておられるというのもこのような欧米の評価システムと関係があると思います。日本のAO入試は、海外の大学入試をまねたシステムですので、日本のAO入試においても、加点対象となることは容易に予想できます。

このような観点から考えますと、私立中高の4学期制への移行は、国家の要請である「グローバル人材の育成」への対応力を学校として蓄積するという観点では、とても有効な施策になると考えられます。
 

海外の大学のサマーセッションへの高校生の参加プログラム


海外の大学のサマーセッションに高校2年生あるいは3年生あたりで参加することができるプログラムとはどのようなものなのでしょうか。
アメリカのハーバードやエール、イギリスのケンブリッジやオックスフォードといった日本においても著名な海外有名私立大学でも海外高校生向けに、さまざまな形態のサマースクールが提供されているようです。
本稿では、「カリフォルニア大学バークレー校(2014-2015 Times世界ランク8位)」のIPCPInternational Pre-Collegiate Program)のプログラムについてご紹介したいと思います。

IPCP
は、高校生向けといっても、内容的には、完全に大学生向けのものであり、かつ、生活安全面では高校生向けに細かな配慮がなされているプログラムです。
筆者が日本の窓口としてかかわっており、プログラム責任者に詳細を聞けるということで、本稿にて、ご紹介する次第です。
参加者の目的は ①「自分が行きたい大学」の下見 ②「行くつもりはないが生活体験してみたい大学」の体験 に2分されるようです。日本の高校生の99%を占める「学部での海外大学進学を考えていない」方にもおすすめできるプログラムです。


文科省のHPにも、 

アメリカには、アドバンスト・プレイスメント(AP)と呼ばれる、ハイスクールの特に学力優秀な生徒を対象に、在学中に大学レベルの学習機会を与え、所定の試験に合格すれば大学の単位として認定する取組がある(指導は、ハイスクールの教員が行う)。

我が国とアメリカでは教育制度が異なり、そのままAPを取り入れることは困難であるが、高等学校教員自身が大学レベルの授業を行うという考え方自体は、大学教員・高等学校教員の連携の促進、個別教員の力量向上の観点から、参考となりうる点がある。

 

APの考え方を参考としつつ、例えば、高校生がある大学で科目等履修生として取得した単位が、当該大学への入学後のみならず、他の大学へ入学した際も大学入学前の既修得単位として認定することができるよう、各大学間での協定締結の取組が広く進展すれば、より早く大学レベルの教育研究に触れたいと考える能力・意欲ある高校生にとって学習のインセンティブとなりうると考えられる。
 

というような記述がありますが、

UCバークレーのIPCPはこのような主旨に、ぴたりと即したものといえると思います。

東京大学や国際教養系の大学
/学部など実践英語の要求度が高い大学の受験を考えている生徒さん、インターの生徒さん、海外の高校への中長期留学を経験されている生徒さんなどには、おすすめのプログラムです。
世界中から集まって来る優秀な高校生やUCバークレーという世界トップ10の大学の大学生やそこに集まってくる世界中の大学生と肩を並べて授業を受けるというのはとても貴重な体験になると思います。
UCバークレーのIPCPの定員は200名ですが、30%60名が中国の高校生ということで、同じアジアのしかもお隣の大国の高校生には大人気のプログラムです。残念ながら、現状では世界やアジアから孤立した日本の普通の高校生には、ハードルが高いように見えるかもしれませんが、お隣のグローバル教育当たり前の中国では大人気ということなので、その理由を知るだけでも意味があると思いますので、是非とも、積極的にチャレンジして頂きたいです。
 

UCバークレーのサマーセッションに世界の高校生が参加(IPCP


IPCPは、
UCバークレーのサマーセッションを海外の高校生が受講できるというプログラムInternational Pre-Collegiate Programです。
UCバークレーの大学の寮に宿泊します。大学の授業受講5単位を取得します。成績証明書を出してくれます。 優秀な生徒はUCバークレーの教授に推薦状を書いてもらえます。中国の国家重点校の高校生の応募は一校あたり30名にものぼるもので、多すぎるためにプログラム責任者から高校の方に一校あたり10名に絞り込んで欲しいとお願いせざるを得ないぐらい高い評価を受けているものです。

IPCP
に参加した高校生の追跡調査は完全ではないですが、

少なくと3名はUCバークレーに入学し、20名近くが、UCLA/UCアーバインなど他のUC(カリフォルニア大学)に入学。多くはないですが、東海岸のアイビーリーグの大学に入学した高校生もいるようです。

以下、プログラム責任者に、IPCPの概要と典型的な参加者のコメントをまとめてもらったものです。 
以下は、
IPCPwebサイトです。
 

http://www.ucbsummer.com/eschool/highschool.html
 

グラフィックス1

Summary of IPCP

This program has been running under UC Berkeley summer sessions since 2010. 
Each summer, we welcome over hundred of high school students from all over the world to attend the program. 
Our students are from USA, Canada, south America, Taiwan, China, Korea, Japan, Indonesia, Thailand, India, UK, France, Italy, Spain, Russia, and more. 
We provide the opportunity for high school students to take college credit courses at UC Berkeley. When students complete the program, they will receive an official transcript issued by UC Berkeley admission office. 
The credits are transferable to any schools in the States. Students will have a chance to be taught by UC Berkeley faculty, study with UC Berkeley students and other college students from all over the world. 
This is a regular summer session but not extension courses.

30 %  from China

25 % from other asia countries such as taiwan, japan, korea, thailand and etc.

15 % from North America (USA & Canada)

5 % from south america & south africa

25%from europe and other countries.
 

グラフィックス2


Case 1

Li Minyi, Chinese student. Attended 2012 IPCP and got into UC Berkeley in year 2014. 
He took math and psychology courses in the program and received outstanding score.
 He's a quiet student in the group but like to smile a lot. He said when he applied the program, 
he included the IPCP experience because this is an unforgettable experience not only on academic but also interaction with other students. 
He said he didn't get this chance in China to interact with other people in his age. 
Everyone is so focusing on the national entrance exam and no time to have social life. 

Case 2

A student from south America (Columbia). He is our 2011 student and got into Berkeley in 2012. 
When he joined the program, he already graduated from high school but took a year gap. 
He said he wants to use this gap year to join the program and check if he likes to study in USA and what subjects he's interested. 

Case 3

Echo Wang, student from Taiwan. Attended program last summer (2014) and got into National Taiwan University (NTU). 
She said she didn't think to study undergraduate in oversea but would like to take the summer and explore what the university life is in USA. 
She like
s UC Berkeley because it has a very good law program and that's the major she decided to study in NTU. 
She said the most unforgettable experience is the campus life. Even though it is summer time, professors and students' attitude of teaching and learning doesn't feel like this is summer course. 
Students in the program study hard as well but they also play hard. They don't just study but also enjoy the campus and dorm life. 

Students from Europe

Students from Europe have the tendency not to apply USA schools as their undergraduate.
We had one male student from Italy last summer. He took math and one science course.
 He said he would like to apply schools in USA for his undergraduate so he wants to spend a summer to experience the college life.
 He is few European students who want to study in USA for their undergraduate. 
There's another girl from France, Lara. She doesn't want to study in USA because it's too expensive. 
However, she wants to know what the college life looks like so she attended the program.

グラフィックス3

国家の要請であるグローバル人材の育成


幕末の私塾に相当する「
私立中高に、「世界から孤立した日本という国家」が要請しているのは「グローバル人材の育成」への対応力につきると思います。
グローバル人材が、単に英語などの語学ができる人材ではなく「世界で勝負する」マインドやスキルを備えた人材を意味することは言うまでもありません。

日本経済を牽引する「世界ブランド」の企業においては、入社と同時に、業務として、実践的英語スキルを駆使して、世界で勝負することを求められます。従いまして、採用の段階において、そのような難しい要求に対応できそうかどうかは選考の大きなポイントになるのだと思います。
生徒さんの将来、日本という国の要請を念頭におき「グローバル人材育成」教育に対応できる「私立中高」のみが、「少子化」「長引く不況」という逆風をものともせず、生き残れるような気がします。
そして、そのような「私立中高」で、生徒を指導したいと考える私立中高の先生候補の方々に期待されるのは、「グローバル人材育成」のためのスキルや熱意ではないでしょうか。英語以外の科目の先生にこそ、そのようなマインドやスキルが求められていると思います。
国家の要請に対応できる「私立中高」が増え、日本が世界やアジアの中で孤立してしまっているという状況が一日も早く解消されることを期待してやみません。

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今回は「グローバル人材育成」のツールとして、UCバークレーのIPCPプログラムを紹介しました。 次回以降も、「グローバル人材育成」に対応するための具体的な施策についてご紹介していければと思います。


『広瀬篤嗣氏:プロフィール』

東京大学・工学系大学院修了

松下電器産業(現パナソニック)本社研究所(+通信事業会社・研究所)26年勤務

 その間に、本社国際人事部の海外技術留学プログラムにて

 【スタンフォード大学(米国)客員研究員 2年】

 【パナソニック欧州出向(英国駐在)研究所長 5年・欧州英語圏勤務 7年】
   (世界最大クラスの携帯&固定電話キャリアとの新規ビジネス創出のために

   パートナー開拓を含めて、英語での包括的な営業活動を行う)

2010年より私立中高生あるいは私立中高受験のフォローを主とした進学塾を主宰

2014年よりスカイプ塾に全面切り替え、OKCが留学制度をサポートしている

(OKCエディクル:海外留学中でもスカイプ授業を通して難関有名大学合格を目指す、全く新しいコンセプトの進学塾)

(written by Atsushi HIROSE)

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